« 今日は卒業式 | トップページ | 「トム・トラバーツ・ブルース」 »

2010.03.13

角田甘粕大尉論

昨日のニュースで小説家(ノンフィクション作家)の角田房子が死去していたそうな。


齢95歳だったというから大往生。


この人が亡くなったことを聞いて真っ先に思い出したのは、

ちくま文庫から出版されている「甘粕大尉 増補改訂版」を昨年の夏に読んだこと。非常に面白かった印象があって,

それに乗じて去年の夏は、甘粕大尉,大杉栄事件に関連した本を2,3冊読んだものでした。


甘粕正彦といえば、憲兵大尉時代の大杉栄事件の首謀者として有名で、その後予備役になり、満鉄総裁として満州国の影の実力者として、傀儡政権を傀儡せしめた人物として、一般的には軍国主義の権化として象徴されることが多い。そしてソ連侵攻の際に自決するあたり、その色を濃くしている。

しかし実際の人物像はそうではなかったというのがこの本の趣旨であり、大杉栄事件も、現場監督という地位(麹町憲兵分隊長)にいたものの、殺害命令を出したのは別の人物であり、その濡れ衣をかぶったというのは真相だそうで。。。。人物として、実に誠実で真面目な人格だったらしい。

そのあたりの詳細を、様々な資料とインタビューから掘り起こしている。実際に大杉栄を殺害した下士官からもちゃんとウラをとっているあたり、非常に貴重な資料でもあると言える。
その綿密な取材と冷静なタッチは非常に好感を持った印象がある。


最近は佐野眞一の「甘粕大尉 乱心の曠野」が2009年に出版され、講談社ノンフィクション賞を受賞しているが、大きな方向性は角田甘粕論とあまり変わりなかったような気がする。むしろ、より角田論を強めたような印象。
むしろ、甘粕は満鉄時代には軍部とは反逆的な行動をとり、軍部から冷遇されていたらしい。彼は彼なりに自分の理想とする東洋の人種が共存できるような国家を満州国に描いていた印象を持った記憶がある。

しかしやはり30年も前にそれまでとは全く違った甘粕像を打ち立てた角田氏の功績は非常に大きいと思う。



大正時代末期から昭和一桁代までの期間はある意味ミステリアスな時代だと思う。

軍国色が濃くなる昭和10年代以降に比べ、まだ大正デモクラシーに代表される自由なファッションが流行し自由が謳歌できた時代だが、その陰に隠れてその後20年後の結果を招く潜在的な要因が身を潜めて躍動していたのかもしれない。



後世の人たちの一方的な主観や考え方で、歴史というのはかなり歪曲されやすいもので、そこを冷静に読みとっていくのが大切なことなんですね。様々な情報と立脚点からみた客観的分析力ってやつですね。
これは実社会で生きていくことにも役立ったりします。




そう考えると、歴史って奥が深いなぁとしみじみと感じてしまいます。

|

« 今日は卒業式 | トップページ | 「トム・トラバーツ・ブルース」 »

「つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/98537/47798707

この記事へのトラックバック一覧です: 角田甘粕大尉論:

« 今日は卒業式 | トップページ | 「トム・トラバーツ・ブルース」 »