映画『沈まぬ太陽』の感想
昨日は、今日が休みだったので、久しぶりに実習の帰りに映画を観にいきました。
観た映画は山崎豊子原作の『沈まぬ太陽』。
途中10分間の休憩を挟む、202分の大作です。3時間を超える劇場作品ってあの「タイタニック」以来のような気がします。
映画館は、新宿バルト9 。 久しぶりに来たけどいいシネコンですね。
・・・さて、映画を観た感想です。
まずはヒトコトで言うと・・・・、
面白かった。
です。この手の映画は僕は大好きということもありますが・・・。以下はネタばれが多少あるかもしれないです・・・。
まずこの映画に対する思い入れは以下の2つの要素があるかどうかで大きく変わってくるのかなと思いました。
1.日航ジャンボ墜落事故の当時の記憶があるかどうか
2.長らく会社勤めをしているか
この物語の自体、日航ジャンボ墜落事故が大きなファクターを占めています。僕はこの当時のことを衝撃とともにしっかりと記憶している世代ですから、序盤の墜落シーンはいきなりクライマックスみたいに、ものすごく衝撃的でした。
2.は経験していないのでわかりませんが、1.の日航ジャンボ墜落のことをリアリティーを持って記憶しているだけで、この映画は楽しめるはずです。
現在もこの事故で被害者がいるわけですから、この物語は非常に繊細な問題というか、、立場が保たれねばいけないはずです。しかしこの時期に、202分と言う大作を作り上げた制作側の熱意と努力は報いられるべきではないでしょうか。
見どころとしては、何といっても渡辺謙の存在感でしょう。
言いかえれば、“渡辺謙劇場”を堪能できます・・・。
彼の存在感と演技力でついスクリーンを見てしまう・・・・。イヤミでもなく、英雄気取りでもない、円熟の増した誠実な演技が観客の心をつかんでいくと思います。 彼のおかげでこの3時間の映画が成立したと言っても過言でもないかもしれません。
逆にダメなところとしては、何といっても
CGがしょぼい・・・
と言う点です。墜落シーンもそうですが、たぶん日航の全面協力を得られなかったこともあって、飛行機のシーンは全てCGですが、、それがもうしょぼすぎです。
CGが出てくるだけで一気に萎えてそれまでの物語への集中が冷めて苦笑さえも出てきます。なるべくCGを避けて他のシーン構成を考えるべきだったと思います。
あと、墜落後のあくまでお涙ちょうだい的な古臭い演出も一部分あって、これはやりすぎだなぁと思うところもあったが、まぁこれは邦画にありがちなところなので。。。。
しかし、墜落後の御巣鷹の現場とか、遺体安置所のシーンとか本当にTVの報道や新聞でみたそのままの姿を映像化したのはものすごく価値あることだと思います。これはやはり映像でないと表現できない仕事だと思います。
あとは山崎作品特有の人間の思惑が絡んだドロドロ感は、若干薄いかなと思いましたが、映画の中にしっかりと漂っています。山崎作品には独特の毒気があるのですが、現代風に若干スリム化されているといった感じです。まぁこれはこれで見やすいのでいいでしょう。
ちょっと若い人には、巨大企業組織の闇、墜落事件のこと、政治とカネなど。。。難しくて、実感が湧かないかもしれませんが、その闇の中で渡辺謙扮する恩地の生き方が相対的に浮き出てくるわけです。しかし、その対軸として行天(三浦友和)が存在するわけですが、彼も彼なりの信念で会社の中を生きていきます。
山崎作品殆どすべての作品にみられるのは、物語の中での社会問題を提起している他に、その原因すべてに人間がいてこそ作り上げられるということを主張している気がしてなりません。人間があくまでもそのフォーカスなのです。個人には善悪の2元論では割り切れない背景や立場、問題があるのだということを書いているような気がしています。
そういう意味で、僕には今回の『沈まぬ太陽』を見て、恩地にスポットを当てるあまり若干善悪論が前面に出過ぎたのかなと感じつつも、恩地と行天の生き方をそれなりに理解でました。
いい作品だったと思います。ちょっと古臭いけど作品全体に誠実さがあるなと感じました。こういう誠実な映画って最近見ないですから・・・・。
こういう社会派で硬派な映画がもっと増えればいいですね。
ホント最近、世の中軟派すぎますから・・・(笑)
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