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2009.03.09

「愛情はふる星のごとく」

今日は読書の一日でした。そんなわけで真面目な本の話です。



尾崎秀実著 「愛情はふる星のごとく」(岩波現代文庫)を読み終えました。



先週から尾崎秀実が書いた「ゾルゲ事件 上申書」(岩波現代文庫)を読み終えて、引き続きこの本を読み始めたわけです。

ゾルゲ事件(国際諜報団事件)で逮捕された尾崎が公判準備中から死刑執行当日朝までに奥さんに書き送った3年間の書簡集をまとめたもの。

獄中生活で必要なこまごまとした事務的な言伝が内容の半分くらいを占めていた。そこがリアルで当時の生活感があって個人的に好き。あとは後半の「食物考」では今も存在する料理屋の名前とかも載ってたり・・・。
家族にスパイ活動のこと、ましてや自分が共産主義者であることを自身が逮捕されるまで全く知らせることがなかったわけで、それによってできてしまった溝を尾崎自身が何とか埋めようとする姿勢や献身的な妻への感謝。わが子への親としての勤めを何とか果たそうとしている姿が真摯的でよかったと思います・・・・。

そして最後の書簡は、その後(1時間半後)死刑執行が執行されることを全く予期させない生活感にあふれていて、たぶん本人も執行を言い渡される前なので自身の死を全く予期していなかったわけで、だからこそその後の唐突に訪れる死に対してより重い印象を与えてしまう・・・・。



それにしても、先の「ゾルゲ事件 上申書」では、公判中と一審判決(判決は死刑)後の2通があり、つまり今回のスパイ活動、ひいては共産主義からの転向書という位置づけらしいんだけど、一通り読んでみて、その獄中にありながら、非常によく世界情勢を見ていることに驚きました。
ドイツの敗戦や国内の物資不足が原因のインフレーションの到来など・・・。



しかし尾崎の書いた2冊の著作を読んでみたけど、どうも尾崎秀実という人物がよくわからない、というか、、、明らかに共産主義者という顔が全く見えてこないことに違和感があってしょうがないわけなのです。「上申書」に関しても、これが彼の本音なのかどうかはどうもよくわからないし、「愛情の~」の方は、あくまで家庭人としての尾崎の一面を描いているに過ぎないわけで、この2冊だけでは、あの国を揺るがした事件を起こす張本人の素顔だとは到底思えないわけです。昔はエリートが赤に染まるのは当たり前のことだったらしいですけど、そこんところが現代の感覚だとイメージできないんですよね。

死刑判決時に裁判長から「死をもって国家に詫びよ」と言わしめた人物とは到底想像がつかないわけなんです。



よって、彼の人物像を焦点に個人的にもっと深く掘り下げたくなってきました。  

そんなわけで家の本棚を探していたら、もう一冊尾崎関連の本を見つけたので後で読んでみようと思います。



あとBOOK OFFで日暮吉延 著「東京裁判」(講談社)が半額だったので買ってきました。
新書のくせに定価が1100円の本なので、なかなか手が出せなかったので、個人的には掘り出しものでした。




今は中公文庫の脳科学と哲学に関しての本を読んでいます。

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